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学園紙Pickup 平成24年5月31日号 記事詳細・特集

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06月

22日

2012

特集「新・文明の旅」プログラム

「発信力」「潜在能力」を国内外で開花

 

創立100周年に向けて、本学の学生をユーラシアの国々に派遣し、文化交流を図りながら日本を発信する壮大な事業「新・文明の旅」プログラムが、2年間の準備期間を経て、この2月から3月にかけて実施されました。

第1回となる今回は、トルコ共和国、ブルガリア共和国、ルーマニアの国立大学の学生と交流する「海外派遣班」(2月29日~3月17日)と、東日本大震災の爪跡が残る岩手県遠野市での「被災地支援ボランティア班」(3月1日~4日・以下「被災地支援班」)に分かれ、国境を越えてスカイプ(テレビ電話システム)で交流を図りました。

現地での活気溢れる様子を、以下14人の方々にお聞きしました(敬称略)。

 

海外派遣班

ふじみ野キャンパス 横須賀咲月(広報担当・コミュニケーション社会学科2年)、田嶋英行(人間福祉学科准教授)、田中綾子(人間学部教務グループ)

本郷キャンパス 石川未来(代表・外国語学部4年)、五来美里(保健医療技術学部臨床検査学科3年)、野口由雄(団長・外国語学部教授)、リア・ギルナー(外国語学部准教授)、竹野弘顕(入試広報センター)

被災地支援ボランティア班

ふじみ野キャンパス 佐藤寛子(児童発達学科4年)、鳥羽純礼(コミュニケーション社会学科2年)

本郷キャンパス 福原綾佳(外国語学部3年)、竹内秀和キャンパスディレクター、伊藤啓輔(キャリアセンター)、大岩義典(学習支援センター)

 

―団長の野口先生からひとことお願いします。

0531_noguchi.jpg野口 海外派遣学生17人と教職員5人は、トルコ共和国(以下トルコ)のアンカラ大学、ブルガリア共和国(以下ブルガリア)のソフィア大学、ヴェリコ・タルノヴォ大学、ルーマニアのアレクサンドル・イオン・クーザ大学(以降通称ヤシ大学)で、ホスピタリティ溢れるおもてなしをしていただきました。学生たちは、文化交流やプレゼンテーション(以下プレゼン)などを通して、友好を深めました。

被災地支援班・学生16人と教職員7人は、岩手県遠野市で雪かきなどの重労働をしながら、被災された方々と交流し、その活動をスカイプを通じてアンカラ大学、ソフィア大学、タルノヴォ大学へ発信しました。これらの体験は、学生にとっても私たち教職員にとっても、かけがえのない貴重なものになりました。

 

 現地学生相手に堂々とプレゼン&ディスカッション 

―心に残るエピソードをお聞かせください。

横須賀 私たち派遣学生は、ブルガリアでソフィア大学9名、ヴェリコ・タルノヴォ大学8名に分かれて活動しました。私はタルノヴォ大学へ行きました。相手の話をじっくりと聴いて吸収しよう、相手を思いやろうという学生たちの姿勢を感じました。

野口 4大学のどの学生も穏やかで勉強家でした。蔵書が沢山あり、中には「古事記」から「万葉集」、「蛇にピアス」まで読んでいると聞き、大変驚きました。ヤシ大学の日本文化を学ぶ組織「ひまわり」が開いた雛祭りに参加した際、派遣学生が熟練した習字や茶道の腕前を披露しました。現地の3テレビ局が来ていて彼女らに注目していましたが、スキルの高さが伝わるのでしょうね。「ひまわり」はJICAがスタートさせ、現在はヤシ大学の学生が中心になって運営しています。折り紙も上手なので尋ねたところ、インターネットで探し出したそうで、日本の情報が少ない環境で、一生懸命日本文化に触れようとしている姿が印象的でした。

田嶋 ブルガリアで2グループに分かれたことで、人に頼らずに活動する必要があり、さらにそれぞれにスポットライトが当たったことで、個々のモチベーションが上がったと思います。私はソフィア大学へ行きましたが、学生たちはかなり綿密に事前準備をしてから、専門性を生かしたプレゼンに臨んでいました。ソフィア大学はブルガリアのトップ校ですが、学生同士のディスカッションで、派遣学生は起承転結がきちんとした議論を展開していました。先方の先生も称賛してくださり、このプログラムの「学生の潜在能力を引き出す」という目的も達成できました。

田中 このプログラムが立ち上がったのは2010年3月で、私は学生と先生方がゼロからスタートして創り上げる様子を一番近くで拝見できるという贅沢な立場でした。どの大学の学生も優秀で素晴らしかったのですが、日々成長していく派遣学生を見て、感動の連続でした。

石川 ブルガリアの初日にお財布を失くしてしまい、現地の男子学生が深夜に警察へ行ったり、私が最後にお財布を使ったタクシーにも当たってくれたり、本当に親身になって対応してくださいました。お財布は見つかりませんでしたが、現地の学生の優しさが身に沁みました。

五来 将来、医療技術者を目指していますので、個人プレゼンテーマもHIVを選びました。ホームステイ先では、自分の夢を語り「自分がやってきたことを形に残したい」と話したところ、日本語と各国の言語でのポスターを家族が一緒に作ってくれました。医療知識がなくても、熱心に話を聞いてくださり、その対応に感動しました。

ギルナー ルーマニアで派遣学生の一人が体調を崩したのですが、「ひまわり」メンバーのボグダンさんが、正しい治療を受けられるよう、3カ所の病院に連れて行ってくれました。ナースもドクターもとても親身に対応してくれました。ボグダンさんは、本郷にも遊びに来ましたね。

竹野 派遣学生17人中、男子学生は2名で、ひとりは前半に、もうひとりは後半に体調を崩しました。プレゼン終了後に熱を出した女子学生もいましたが、基本的に女子学生は非常に元気に17日間を駆け抜けました(笑)。改めて「女子は強い!」と感じました(笑)

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  国境を越えてスカイプで交流 

佐藤 私は岩手県遠野市でボランティアをしました。現地のお年寄りから「バルーンアートで風船が爆発する時、地震でガスボンベが破裂する音を思い出して辛い」という話を聞きました。ボランティアが良かれと思ってやっていることでも、被災地の方々にとっては苦痛となることを知り、心に残りました。

鳥羽 この目で被災地を見て、映像と実際の現場は全く違うと思いました。お世話になった「遠野まごころネット」の方にボランティアをする理由を尋ねたところ「人を助けることは当たり前。理由はない」と回答なさったので、心に残りました。

福原 雪かきがこんなに大変だとは夢にも思わなかったです! 地元の方がお昼ご飯を振る舞ってくださった上「ボランティアの人たちが来てくれると地元も盛り上がって、とてもうれしい。ありがとう」という言葉もくださいました。「ありがとう」に込められた思いを感じ取ることができて、とても印象に残りました。

竹内 夕食後、被災地支援班の学生たちはスカイプの発信の仕方を学生だけで朝方まで議論していました。回を重ねるごとに質が高まり、解り易い日本語での素晴らしい発信となりました。

伊藤 メンバーの塚本さんがバスの中で、スカイプを通じて海外派遣班と「これから被災地へ行く」「頑張って」というやり取りをしたのですが、テクノロジーの発達で世界が狭くなったことを実感しました。

大岩 被災地の現況もスカイプで発信したわけですが、同じく地震を経験したトルコだけではなく、ブルガリアからも強い関心が寄せられました。1年経った今でも、このような反響があることに驚き、忘れないでいてくれることをありがたいと思いました。

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 現地での刺激で向上心生まれる 

―このプログラムで何を学びましたか?

横須賀 17日間の毎日が変化に富んでいましたので、帰国後の変化の無さに物足りなさを感じ、これまで目を向けなかった事柄にも積極的にアプローチして、自分から変化していこうという気持ちになりました。

野口 日本が欧米文化の影響を受ける中で、今回の3カ国を回り、それぞれ独自の文化を学べたことはとても有意義であったと思います。私自身は、ブルガリアのキリル文字に興味を覚え、言語学習意欲が高まりました。

田嶋 これまで、学生との距離をどのように取るかを模索してきました。今回、17日間学生と一緒に過ごし、気負って何をするということではなく、ただ一緒にいること、一緒に何かをするということで良いと学びました。帰国後、授業の中で学生と接することが楽しくなりました(笑)。

田中 島田昌和副理事長が「このプログラムは、学生・教員・職員が三位一体となって創り上げられる」とおっしゃいました。最初は漠然とした気持ちで出発したのですが、17日間の中でそれぞれの役割や能力があることを認識し、とても良いトライアングルの関係ができたと思います。

石川 事前学習で、訪問国は英語圏ではないにも関わらず、幼いころから英語を学ぶと知り、教育に興味のある私は「どのように教えるのか、学ぶのか」を知りたいと思いました。実際、英語でも日本語でも現地の学生とコミュニケーションを取ることができたので、数カ国語を学ぶ意欲をすごいと思いました。

五来 現地の学生は、興味のあること以外も知識の範囲が広くて驚きました。私も自分が学ぶ分野には、もっとプロフェッショナルにならなければいけませんし、それ以外の広い知識を身に付けたいと感じました。

ギルナー コミュニケーション能力の大切さを感じました。「勇気」があれば何でもできますので、恐れる気持ちなく相手の懐に入っていくことが大事だと感じました。Start Today!

竹野 1年間の事前授業でプレゼンを繰り返して自信をつけ、訪問国では現地の学生に積極的にアプローチする派遣学生の成長ぶりを目の当たりにしました。自分たちでプランニングしてリーダーシップを取り、皆で一緒にやっていこうとする自主性・協調性を見て、学生の力は本当にすごいと再認識しました。

 

 目で見て現実を知る大切さ 

佐藤 被災地の状況は想像以上にひどく、このような中でも、明日に向かって生きようとする姿勢が感じられ、私も頑張らなければいけないと思いました。

鳥羽 こんなに辛い思いをなさった皆さんが、他者に対してとても優しく、前向きである姿を見て、反対に元気づけられました。

福原 人と関わる時間が多かったので、チームワークの大切さやコミュニケーションの取り方を学びました。

竹内 学部・学年を超えて活動することで相乗効果があり、発信力はじめ様々な面でも成長しました。個々の秘められた「学生力」を実感しました。

伊藤 1日目はメンバーが仲良くなること、2日目は現地の方々とコミュニケーションを取ることと自分の力を発揮すること、3日目はこれまでの活動をいかに発信するかを考え、個々が3段階を経て確実に成長した姿が印象深かったです。

大岩 スカイプ通信は被災地で1回、東京で2回行いました。通信時の時差や画像の問題がありますので、お互いのコミュニケーション手段に制限がある場合、どのように伝えれば良いかを、学生が色々と考えて実行していたことが印象的でした。

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 交流に必要な英語力とコミュニケーション力 

―課題と抱負を。

横須賀 英語ができればもっとうまくコミュニケーションできたと思える場面もあり、アンカラ大学やソフィア大学のように日本語学科のある学生との交流に甘えてしまった自分をとても恥ずかしく感じ、深く反省しました。帰国後は英語に力を入れています。

野口 今回訪問したブルガリア、ルーマニアでは、職を探して生きていくことの大変さを知りました。学生たちは、学力をつけることが自分の人生に直結しているため、実によく学んでいます。豊かな社会で生きる日本の学生との「学びへの姿勢」が明らかに違います。1年間の授業の中で、「経済格差」などをもっと教えるべきであったと考えています。

田嶋 先方には、「日本語学科の学生に生の日本語を聞かせたい」という思いがあったと思います。プレゼンをする際、日本語のネイティブではない相手が対象であることを考えて、事前学習の中で日本語教育の方法論を学んだ上で臨むことが望ましいと感じました。

田中 事前授業の中で英会話を学ぶことが必要だと思いました。派遣学生の発信力は高まったと思いますが、相手がどう感じたかの部分を考えていなかったように思います。相互の意思疎通が図れれば、このプログラムはうまく繋がっていくと思います。

石川 トルコでは、現地の学生のプレゼンもあったのですが、ブルガリアとルーマニアでは私たちが一方的にプレゼンし、あまり先方の意見を聞くチャンスがありませんでした。例えば、興味の分野が同じ学生同士でのディスカッションを体験したかったです。

五来 日本でHIVが増えている原因をきちんと理解しないままプレゼンしたのですが、現地の学生からその質問が出ました。現在、その答えを見つけることが課題です。さらに、これまで学んできたことを外に発信したいです。

ギルナー トルコ、ブルガリアではそれぞれホームステイをしましたが、ルーマニアでは派遣学生一同が2人1組で学生寮に泊まりましたので、ホームステイのほうが良かったと思います。

竹野 一カ所に長く滞在できれば、もっと密なコミュニケーションが取れたのではないかと感じました。「ひまわり」の雛祭りには一般人が沢山参加しましたので、次回はもっとそういう方々と触れ合って、一般家庭の生活を見られたら、よりその国を知ることができたと思います。

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 主体性を持ち被災地支援を継続 

佐藤 もっと自分たちが積極的に関わるべき部分が沢山あったのではないかと思います。現地の方は「実際に活動はできなくても、お土産を買ったり食事をしたりしてもらえればいい。被災地の状況を忘れずに語り伝えてほしい」とおっしゃっていました。様々な関わり方がありますから、今後は「足湯」など家庭的なことでお手伝いをしたいと思います。

鳥羽 今回はボランティアのお誘いがあって参加しましたが、今後は自ら行動できる人間でありたいです。皆さんが自主的に動けば、その数だけ支援も増えます。中山ゼミ生は何度も被災地支援に行っていますが、私も中山ゼミに所属できましたので、「犬のケア」などを担当したいです。

福原 実際に被災地へ行き、できることをやろうと思いました。自分の目で見て体験して、初めて理解できることもあり、人の関わりの大切さや、自分がするべきことを考えるようになるので、これからも積極的に動きたいと思います。

竹内 次期プログラムでは、学生がそれぞれの専門性をより生かした活動と発信ができるようにしたいです。地域連携も考慮に入れる必要があります。例えば神奈川大学では、神奈川県と連携してバスをチャーターし、ボランティアを途絶えさせることなく定期的に送り続けています。本学でも、地域の方々や留学生も巻き込んで支援活動を展開したいと考えています。

伊藤 被災地での出来事が風化されてはなりません。あまりメディアにとらわれずに、主観的に物事を考えていきたいと思います。学園としては「活動の継続」という課題があると思います。神奈川大学の良い例を参考に、継続的に支援を続けることが大事だと思います。

大岩 総合講義のサポートをした際、被災地へ行った発表の時に「今も継続されていますか?」という質問がありました。私はボランティアをやり終える気持ちでいたため、衝撃的でした。やはり、継続するための活動をできればと思いました。今後は、ボランティアの受け入れが可能な組織と連携していけると良いと思います。

 

 事前授業で経済の視点を 

―次回参加者に代表・団長からアドバイス、メッセージを。

石川 私たち学生には時間があるので、言語の学習や現地の情報などを事前に行えば、行ってから必ず役に立ち、感動も増えると思います。

野口 訪問先の大学生は、多くが数カ国語を話します。今回、派遣学生は日本語でプレゼンしましたが、果たして自分たちがトルコ語やブルガリア語でできるかというと、そうではありません。さらに、自分が行うプレゼンを通じて、その国の何が見えるかまで追求してほしいと願っています。現地の学生は、普段の生活はとても質素ですが、勉学に関しては惜しみなく投資します。そういった価値観の違いなども派遣学生が学ぶよう、今後は事前授業で経済などの視点を持たせたいと考えています。

皆さん、「新・文明の旅」プログラムにぜひ参加しましょう!