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留学体験談

【マレーシア】マレーシア国民大学 フィールドワークレポート①

留学先    :Universiti Kebangsaan Malaysia
学部・学科  :保健医療技術学部 作業療法学科      
留学期間   :2019年3月11日~3月24日           
氏名・学年  :A・Kさん(留学時:3年生)     



1. はじめに

 3月11日から3月24日までの二週間、マレーシアの短期フィールドワークを体験した。短期フィールドワークで学んだこと、体験したことを以下に報告する。

2. 病院・施設実習について

 今回UKM Medical Center(以下UKMMC)、チェラスリハビリ病院、国立呼吸医学研究所、パンタイ病院、国立心臓疾患病院、コミュニティーセンターなど様々な病院や施設へ見学実習をさせていただいた。UKMMCは国立の病院であり私立病院より経済的負担が削減されるため、病院開始時刻前から多くの患者様が待機していた。マレーシアでは発達障害児の出生確立が高いため、UKMMCも小児専用のリハビリテーション室が多く、神経疾患や脳血管疾患の患者様と同数の利用者がいた。国立呼吸医学研究所では日本より胸部切開後のリハビリ開始が早く、リハビリも患者様一人一人に合わせた個人プログラムを実施していた。国立呼吸器医科学研所の手術やリハビリは日本よりはるかに優れているので、とても勉強になった。パンタイ病院は私立病院であったため、通院する患者様も経済的に裕福な方が多かった。使用器具も国立病院より揃っており、衛生面もしっかりとしていた。コミュニティーセンターでは自閉症や知的障害の小児を午前中だけ預かり、理学療法士や作業療法士が二週間に一回リハビリを実施している。コミュニティーセンターのような小児の施設はマレーシアで500以上あるとお聞きした。

3. 作業療法について

 マレーシアの作業療法は使用している器具、領域に大きな違いは見られなかった。しかし、日本より熱傷の患者数がはるかに多くどの病院にも熱傷患者専用のリハビリ室があった。受傷要因は交通事故や仕事中など様々であるが、小児から成人まで通院しており、後背部一面の熱傷や胸部の熱傷など熱傷部位が広い印象を受けた。熱傷の適切な肢位などは壁に貼ってあるのだが、実際の治療場面を見学させていただいたときに適切な肢位の説明などはなく、「拘縮予防のためにできるだけ動かす」とおっしゃっていた。患者数が著しく多いのもあるが日本の熱傷リハビリとマレーシアの熱傷のリハビリは実施方法が異なっていた。脳卒中のリハビリもBrunnstrom Stageは使用しておらず、それぞれの病院の評価表で評価しており、ADLもBIで評価していた。COPMのようなものも実施していたが、日本の評価方法とは異なっていた。
 様々な病院や施設を見学させていただいて、脳血管疾患の患者様の評価や治療は日本の作業療法のほうが患者様の気持ちに寄り添った治療を提供していると感じた。また、日本では精神疾患以外の患者様は基本的に1対1でリハビリを行うが、マレーシアではセラピスト1人に対して、4~5人同時に治療することもあるとお聞きした。脳血管疾患の患者様はプラトーの期間までにどれだけ回復できるかが重要なため、セラピストが増えればより充実した医療を提供できるのではないかと感じた。

4. マレーシアの文化について

 多民族国家であるマレーシアではイスラム教、キリスト教、仏教など複数の民族が暮らしている。イスラム教の方々は1日に5回お祈りの時間が設けられているため、病院やモスクでお祈りをしている方もいた。モスクなどの聖地に入る場合は肌を露出しないような格好で男性は長袖に長ズボン、女性は長袖にくるぶしまでのズボンまたはスカートにスカーフを巻く。マレーシアでは左手は不潔なものと認識しているため、握手は右手で行う。また、移動手段は基本的に車かバイクであるため、18歳になると大半のマレーシア国民が免許を取得する。
 食文化も香辛料が効いているものや味の濃いもの、甘味の強い食べ物が多く、日本の味付けと異なる。香辛料の効いた辛い物を口にした後に砂糖の多く入ったデザートを食べるため、糖尿病になる方が多い。朝食、軽食、昼食、軽食、おやつ、夕食と頻回に食事をするのも日本とは大きく異なった食生活であった。

5. おわりに

 出国前は英語が話せるのか不安であったが、事前授業で学んだ英語を使用していたら二週間は過ごすことができた。マレーシア到着後は英語を口にすることもできなかったが、最終的には現地の方々と意思疎通が可能になるほどに成長した。また、海外の病院見学ができることはとても貴重な体験であるため、この短期フィールドワークで学んだことをこれからも活かして頑張っていきたい。